ー孤独と出会い、そして言葉ー
今回の「文学ラジオ空飛び猫たち」では、ハン・ガン著『ギリシャ語の時間』を紹介。作品について触れながら、孤独、出会い、そして言葉の意味を深く掘り下げました。
あらすじ
ある日突然言葉を話せなくなった女は、失われた言葉を取り戻すために古典ギリシャ語を習い始める。ギリシャ語講師の男は次第に視力を失っていく。ふたりの出会いと対話を通じて、人間が失った本質とは何かを問いかけていく。
韓国の若い作家を紹介するシリーズ〈韓国文学のオクリモノ〉第1回配本。出典:晶文社HP https://www.shobunsha.co.jp/?p=4434
魅力
- 言葉と視力を失った男女の物語: ある日突然、言葉を話せなくなった女性と、少しずつ視力を失っていく男性。2人の出会いと対話を通じて、人間が失った本質とは何かを問いかけてきます。
- 孤独と出会いの描写: 作中では、主人公たちが抱える深い孤独と、その中で生まれるわずかな温かさが繊細に描かれています。特に、お互いのことを何も知らないまま、ゆっくりと距離を縮めていく様子は、読者に深い感動を与えるものでした。
- 言葉の力: ギリシャ語という媒介を通して、主人公たちは自分自身と向き合い、世界とのつながりを再認識していきます。言葉が持つ力と、それを失うことの恐ろしさが、切実に伝わってきます。
- 詩的で美しい文章: ハン・ガンの美しい文章は、読者を物語の世界へと深く引き込みます。特に、登場人物たちの心の動きが細やかに描写された箇所は、印象深いものとなっています。
パーソナリティ2人のトーク内容のポイント
- 中動態: 古典ギリシャ語の概念である「中動態」が、現代社会における人間の置かれた状況と重ね合わせて考えることができました。
- 聖ガレン修道院: 作中に登場する聖ガレン修道院の図書館が、物語に神秘的な雰囲気を与えている点についても触れました。
- 登場人物の特徴: 主人公をはじめ、登場人物たちが皆、マイペースで感情を表に出さないという共通点も興味深い点として挙げられました。
リスナーへのメッセージ
- 誰かに話したくなる小説: この小説は、決して明るい話ではありませんが、読んだ後には誰かに話したくなるような、心に温かいものが残る作品です。
- テンションが低い人におすすめ: 主人公たちが非常にマイペースで、感情を表に出さないため、テンションが低い人でも共感できる部分が多いかもしれません。
- 言葉の意味を考えさせてくれる: 言葉の力、そしてそれを失うことの恐ろしさを考えさせられる、深い作品です。
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